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2025.02.07
若い人との付き合い方(2)
飲み会に誘ったら来てくれますとのコラムを投稿いたしましたが、この話には続編があります。このコラムを読めば、若い人を誘うのことに逆に躊躇を覚える方もおられるかもしれませんが、それでも良ければお読みください。
若い人(10代から20代を指しています)たちの飲み会に来る目的が、私たちが若かった頃とはだいぶ変わってきているように感じています。
私は、飲み会とは普段の仕事ではわからないその人の本当の姿に触れて距離を縮めるため、もっと言えば、心の交流をするためにするものだと思っております。アルコールの助けを借りて、なかなか緊張したり遠慮したりで普段は話せないことを話しながら、それぞれが悩んでいることや感じていることなどをざっくばらんに話すという機会ということです。無礼講と言うのは言い過ぎですが、胸襟を開くというためのものという位置づけです。
が、若い人たちは飲み会の席で胸襟など開いてくれません。そもそも若い人たちは、アルコールを飲む料も少なくなっていて、飲まない人も多いです。で、飲んだとしてもまず本心は見せません。本当のところ何を考えているのかは話してはくれないものなのです。他方で、若い人たちのコミニュケーション能力は高い人が多いです。だから状況にふさわしい話はします。上手にリアクションもとり、相づちも打ってくれます。が、それはその人の本心というより、その状況に応じてふさわしい振る舞いをしてしくれているという感じです。
若い人たちのこうした振る舞いをみるにつけ、飲み会というものはあくまで情報を手に入れるための場所という位置づけなのかなというふうに思うようになりました。相手を深く知るというよりは、ネットでは手に入れられない生の情報を入手する場所だと。だから、前回述べたとおり、若い人は飲み会の機会があればやってくるのです。が何度か飲みに行ったところであまり仲良くなったという気はしません。相手のことを深く知れたという感覚にも至りません。
今は世界がネットですべて繋がり、そこでは恐ろしいことがたくさん起きています。若い人たちは、簡単に人に心を開けるようなそんな牧歌的な時代を生きてはいないのです。疑心案議のなかで、情報を小出しにしながらドライな人間関係を築いてきておられるのです。そういうハイリスクな環境のなかで育つという、私たちの世代は経験しなかったことを経験してきておられます。
そのような環境の変化によって若い人が心を開きにくくなっているというのが実情かと思っております。さて、それでも若い人を飲み会に誘いますでしょうか。ぜひ、誘ってください。そういうものが本物の人間関係ではないということを知ってもらうには、私たちから距離を縮めるしか方法はないのです。
八木和也