行政訴訟
2020.09.03
【事例紹介】朝日屋事件
弁護士として45年になりますが、国や地方自治体(行政)を相手とする事件(国家賠償や行政訴訟)は勝訴が困難と言われていますが勝訴事件を紹介します。
文房具、OA機器等の販売を行う株式会社Xは神戸市へパソコン100台他文房具などを同市役所の某部局業務課に販売しました(販売金額は2500万円)。
ところがこの部局の業務課に勤務する職員Yは、1台30万円のパソコンを同部局で使用すると称して納品させ、実はパソコンを転売してその代金を着服横領していたのです。神戸市は職員Yには高額のパソコンを発注する権限はない、そんなことは納入業者も分かるはずだから神戸市とXとの間には売買契約は成立しないと主張しました。
裁判所は、神戸市に売買代金支払義務はないが、Yの監督を怠った神戸市には、民法715条の使用者責任に基づく損害賠償義務があると判断、1960万円余の支払を命じました(過失相殺2割)。