その他
2025.12.14
自衛隊名簿提供違憲訴訟について
自衛隊名簿提供違憲訴訟の学習会が先週12日(金)に京都で開かれ、講師として参加してきました。そこで本日は、この事件をざっくりと紹介させて頂きます。
現在、約7割の自治体が18歳、22歳の個人4情報(氏名、性別、住所、生年月日)を各地の自衛隊地方協力本部へ提供しています。
その際、すべての自治体で本人の了解はとられていません。一部の自治体では本人からの申し出があった場合に限り、提供をしないということになっています(が、誰も提供されていることを知らないためほとんど申し出がされていません)。
私は、現在奈良地裁で行われている名簿を提供された青年(当時18歳)がプライバシーの侵害だとの理由で奈良市と国を訴えている裁判に弁護団の一人として関わっています。
例えば企業が取引を通じて作成した顧客名簿を、本人の了解なく別の企業に提供していたとしたら、大問題となるはずです。なので、自衛隊だけが特別に自治体から名簿の提供を受けるのはおかしいというのが通常の感覚ではないでしょうか。
自衛隊は、表向きは提供を受けた個人情報を募集ハガキを自宅に送付するためにのみ利用し、そのあとは廃棄していると説明しています。が、そんなことはまずあり得ないだろうと私たちは考えています(そもそも、ハガキを送るだけなら性別や生年月日の情報は必要ない)。
この点、2025年3月31日時点で防衛省には220,252人の自衛官がいます。が、このうちいわゆる兵隊にあたる「士」の位の自衛官は32,547人しかいません。これに対し、准尉を含む幹部クラスが48,133人、曹クラスが139,572人います(防衛省・自衛隊:防衛省・自衛隊の人員構成)
つまり日本の自衛官は、ピラミッド型にはなっておらず、頭が非常に大きく、肝心の前線で戦う兵士たちはごくわずかしかいないという、いびつな構造となっているのです。
現在ウクライナは、徴兵制を敷いてロシアと戦っていますが、どれくらいのウクライナ市民が戦場に投入され、前線に送られているのかご存じでしょうか。
すでに100万人が徴兵され、前線にも30万人が送られたと見積もられております。
大国と戦争をするとなれば、それくらいの兵士の数が必要となります。だから日本がもしお隣の大国と戦争をするということになれば、自衛隊が抱える兵隊だけでは全然足りません。
日本でも、なんらかの方法で若い市民を徴兵し、訓練のうえで、前線に送り込まねばならいのです。
自衛隊が全国の自治体から名簿を集めているのは、これが目的であろうと私たちは考えております。
つまり、いざと言うときに徴兵をするためのリスト作りを今から準備しているということです。
こうしたことは、もっと国民が知っておきべきだと私たちは考え、違法なやり方で名簿を集める国や奈良市の責任を問う裁判で勝利し、そのことを白日の下に晒したいと考えております。
詳しくは、自衛隊名簿提供違憲訴訟(RYU裁判)を支援する会を御覧ください。八木和也