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2025.08.24
阪神の独走について思うこと
今年の阪神はとても強い。9月の上旬には優勝を決めるだろうペースで勝ち続けている。
昨年は2位ではあったがとても弱かった。そこからほとんど補強することなく今年は圧倒的な強さを手に入れた。
なので強くなった理由ははっきりしている。藤川球児新監督のマネジメント能力の高さが群を抜いているのだ。
そこには今の若い人たちを気分よく仕事をさせるうえでのヒントが詰まっている気がしたので、本日のコラムにしたい。
藤川監督は選手たちと直のコミュニケーションを非常に大切にしている。キャンプでも、藤川監督が外野のセンター付近で地べたに座り込んで佐藤輝と何かを話している映像などが映っていたのがとても印象深い。
藤川監督は選手に二軍での調整を命じる場面でもきちんとコミュニケーションをとっているようだ。
阪神の岡田前監督は選手との直のコミュニケーションはコーチに任せていたのと対照的だ。
たしかに一定の距離を取ることで監督を畏怖させ、選手を操縦する方法もあるだろうが、今の若い人たちの操縦には、徹底的にコミュニケーションを取る方法がより効果的なのだろう。
藤川監督のマネジメントのもう一つの特徴は選手を休ませながら使うことだ。チームの柱となる近本や佐藤輝などの主軸であっても、特に不調でなくとも試合を休ませたりしている。エース級のピッチャーでも、手ひどく打たれたりすると、ローテーションから一回外したりしてばらく休ませ、そのあとまた投げさせている。
藤川監督は、常に選手の心の状態を把握している。特に数字が悪くなっているわけではなくとも、心の状態が良くないと判断すれば早目に休ませ、リフレッシュしてもらって心を回復させているのだろう。
私が注目したのは、外国人ピッチャーが、相手チームのピッチャーにデッドボールを与えた場面だ。試合は5回裏で、チームは3対0で勝っていて、ツーアウトランナーなし。デッドボールでピッチャーを歩かせても大勢には影響ない場面だった。
なので安藤ピッチングコーチもマウンドには向かわなかったのだが、すぐさま藤川監督が右手をマウンドへ向けて差し、向かわせた。ピッチャー心理を常に把握しており、相手ピッチャーにぶつけてしまったことへの動揺を抑えるために、きちんと時間をとっていた。
かように藤川監督は選手の心を常に把握し、先手を打つやり方なのだ。そうやって好不調の波を減らし、パフォーマンスを最大化する。そんなマネジメント力が今年の阪神を常勝チームへと引き上げた。藤川監督にはあっぱれだ。八木和也。