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2025.07.22
映画「国宝」を観て思ったこと
上映中の映画「国宝」が評判だという事で、連休を利用して観に行ってきました。今日はその感想をコラムにしたいと思います。
私が最近10年で観た映画の中で、間違いなくベスト3に入る作品でした。邦画では断トツのナンバーワンです。これから様々な国際映画賞を受賞するのではないか、受賞するべきではないかと思う秀作でした。
この作品については、あらすじも含めてほとんど明らかにされていないようなので、ストーリーについては立ち入らないようにします。
何と言っても主演の吉沢亮の演技には身震いし、感動を覚えました。あらかじめ吉沢亮の当て役かと思うほど主人公になりきっており、歌舞伎の完成度も含めて、本当に国宝級の演技を繰り出し続けるのです。最後の場面は圧巻としかいいようがありませんでした。
この1点だけでも、大袈裟ではなく、映画館に足を運んで観る価値があります。
脇を固める横浜流星、渡辺謙、寺島しのぶ、高畑充希らの演技も完璧すぎました。映画は主人公の波乱の人生を50年にわたって描いているのですが、各ターニングポイントを繋ぎあわせる巧みな構成で3時間があっという間に感じます。荘厳な音楽、スクリーンいっぱいに白塗りの顔をアップで撮り続ける独特のカメラワークなど、どれをとっても見事といしか言いようがありませんでした。
ストーリーはもちろんですが、スタッフが心血を注いで細部にまで徹底的に拘って作り上げられた作品だけが持つ神々しさに、知らない間に何度となく涙が流れてくるのです。
ちなみに私は歌舞伎の世界のことは全く知らず、日本の伝統芸能についての予備知識もほとんど持ち合わせていない人間です。そんな私でも十分に楽しめましたし、むしろ歌舞伎の世界に非常に興味を持つことができました。
映画「国宝」は、本気で生きるとはどういうことなのかを考えさせてもらえる作品です。ぜひ観て頂きたいです。八木和也