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2025.06.30

 国分太一さんの件について思うこと

 国分太一さんがコンプライアンス違反を理由に日本テレビの番組から降板となり、本人の無期限活動中止とTOKIOが解散が決まったそうだ。

 国分太一さんについては、最近の活動は特に存じ上げておらず、活動休止についての感想は特に持ち合わせていない。

 ただ、私が最近気になっていることと、今回の報道のされ方が大いに関係があるので、その話を今日はしておきたいと思う。

 週刊誌などによると、国分太一さんには番組スタッフなどへ複数のハラスメントがあったらしいとのことである。

 日本テレビはプライバシー保護を理由に、内容を明かしていないが、被害者には十分に配慮し、特定されない方法を考えたうえで、ぜひ公表して欲しい。

 というのも、今はまだパワハラという用語の中身がはっきりしておらず、どこからがアウトなのかがわからいため、パワハラをめぐって社会がやや混乱しているように思うからだ。

 パワハラという用語は、2020年に初めて法律に登場した。法律では、①優越的な関係を背景として②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもので③労働者の就労環境が害されるもの、と定義されている。  

 が、では具体的に何がパワハラにあたり、どの程度のパワハラであれば番組降板、活動休止にまで追い込まれるのか、その基準はどこらあたりにあるのかということになると、私たち法律家の間でも、まだ意見が分かれる場合があるように思う。

 思い返せば、セクハラという用語が浸透し始めた2000年代前半にも同じ様な問題があり、何がセクハラかは被害者がセクハラと思うか否かで決まるなどという間違った考え方が広まったりした。

 が、今では何がセクハラにあたるかはコンセンサスができあがり、あまり混乱はなくなった。

 それは様々なケースを人々が学びながら、セクハラになるか否かの基準を社会が決めていったということだろうと思う。

 だから、今回の国分太一さんのケースもぜひ公表してもらい、こうしたハラスメントがあれば退場となるのだということを社会で共有していって欲しいのだ。

  そうすることが、人々をハラスメントから守り、かつ、職場での(上司を含めた)自由を損なわないために必要なことだと思う。
 
  日本テレビには再考をお願いしたいところだ。八木和也
 

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