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2021.05.07
政府の無策で収束の見えないコロナ禍
2021年4月25日から5月11日までの予定で始まった3度目の緊急事態宣言が,5月31日まで延長されると本日発表された。現政権の対応に不満がない訳ではないが変異株が広がっているんだから仕方がない,欧米と比べると感染者も死者も少ないからまだましだ,と思っている方も少なくないと思う。
確かに欧米と比べると少ないが,人種や社会体制で比較可能なアジアの資本主義国の中で見ると,感染拡大の抑制に成功している台湾や概ね抑制できている韓国と比べ,政府としての一貫した抑制策が全くなく,場当たり的な対応しかできていないために,感染拡大とつかの間の小康を繰り返し,第4波の今や感染者が適切な入院治療すら受けられない深刻な事態に至っている。政府の無策によって生存権が脅かされ,また同時に経済的自由も脅かされている。
一体いつになったらコロナ禍から解放されるのか,見通しがつかないことが苦しい。ワクチンを接種すれば,それで大丈夫という単純なことではないらしい。米国の大手総合情報サービス会社ブルームバーグが行った2021年4月28日時点の試算によると,ワクチンが人口の75%に行き渡り,ある程度の集団免疫に達するためには,現在のペースなら,米国はあと3か月,ドイツ6か月,韓国21か月,オーストラリア2.2年を要するところ,日本は3.8年かかるという。集団免疫獲得までに他国と比べて多くの年月を要するということは,それだけ国民が長い期間生存権を脅かされることになる。それだけでなく,海外からの旅行者やビジネス客にとってリスクの高い訪問国という期間が長く続くことになり,他国と比べて経済の回復に後れをとることも必至となる。日本のコロナ禍の現状は仕方ないものではなく,彼我の政府の違いによるところが実は小さくないし,数年程度先の経済回復状況にも大きな違いが出てくるだろう。皆さんは,それでも仕方がないと,コロナ禍と政治との関係について考えることを止めますか?(本上博丈)