憲法
2025.09.08
小学6年生に憲法の授業をして思ったこと
宝塚市のとある小学校で先週、弁護士会から派遣されて憲法出前授業をやってきました。今は小6の2学期で初めて憲法を学ぶそうで、授業に入る前に弁護士に憲法について話をしてもらおうというのが趣旨でした。
事前の先生との打合せでは、3時間目と4時間目の90分全部を出前授業のために用意してくれるようでした。私はそう告げられた時は「小学生相手に90分!?授業が途中で崩壊するのでは?」と恐れおののきましたが、先生から、クイズ形式にしてくれたらみんな参加してくれると思うとアドバイスを頂き、その方式でやることにしました。
導入は法律クイズにしました。例えば、18才で成人になるけどお酒は飲める?(お酒は二十歳からで以前と変わらずです)とか、電車の運賃は何歳から大人料金?(12歳まで半額と規則できまっています)など、身近な法律クイズから入りました。私の不安をよそに、みんな口々に思いついたことをどんどん答えてくれました。
本題の憲法クイズでは、男女平等を取り上げました。戦後徐々に年月をかけて男女平等が進んでいった話をしました。私が小学校だった1970年代~80年代はまだ男尊女卑が色濃く残っていた時代でした。クラスで名前の順番に並んでも前が男性、後ろが女性でした。なんでもまず男子、続いて女子という順番が当たり前でした。時代は進んで今の小学生たちは名前の順番に並ぶとなれば、男女混合です。
そこで憲法クイズとして、私が小学生のときに名前の順番で並んだ時、皆さんとは違う並び方をしていました。どこが違ったでしょうと質問しました。
生徒たちは、何を聞かれているのか分からないといった様子でした。「背の順に並んだ」などとユニークな答えが出た後、どこかで誰かが「男女で分かれてた」と答えてくれました。なので私が「そうです」「実は分かれていて、しかも男子が前、女子が後ろでした」と言いました。みんな、とても不思議そうな反応でした。
ある生徒が、「もし男女が分かれてたなら、女性の方が前ちゃうん」と言ってきました。私が、「どうして」と聞くと、「いや、なんとなく」と答えてくれました。
また別の生徒は、「先生の小学校時代はいつなん、昭和なん?」と聞いてきたので「そうです、昭和です」と答えました。そるとその生徒は、「あー、昭和か、ならしゃーないな」と言っていました。
このやり取りは、私にとっても、とても興味深かったです。男女で分けること自体がなかなか今の小学生には思いつかないし、分けることは不合理だと思ってくれているのです。そして、もし分けるとしたら女性が前ではないか(!)とさえ思うのです。時代は変わったものです。
あとは人権を学んでもらうために雪の結晶の写真をたくさんみせました。一つとして同じものはないよねー、どれもがとっても美しすぎて、どれが一番か判断つかないよねー、みんなの個性も実はこれなんだよー、って話をしました。
で、みんな自分の個性を発見して、それを伸ばしていこうねーという話をしました。すると、「俺は、ダジャレが得意だかから、これで行くわ」とある生徒が言ってくれました。
こんな感じで、90分があっという間に終わりました。あの子たちが、あのまま大人になれる世の中になれば、なんて素晴らしいのだろうなどと思った一日でした。子供たちはたしかに可能性に満ちておりました。八木和也