憲法
2025.03.03
キューバ危機」って知ってますか?
1962(昭和37)年10月22日、今から63年も前のことです。人類滅亡の危機がありました。当時のアメリカはトランプ氏のような物騒な大統領ではなく、ケネディ大統領の時代。プーチンのロシアではなくソ連の時代。キューバにソ連がミサイル基地を建設、核兵器を配備しようとしました。これを阻止しようとした米海軍が海上封鎖。このとき、幾つかの思い違いが・・
米国はまだ、核兵器は運び込まれていないと考えており、直前までキューバに侵攻部隊を上陸させる気でいました。ところがソ連側は既にルナMという戦術核ロケットを運び込んでいて、米軍が上陸してきたら直ちに発射せよとの指令を出していたのです。
さらに海上封鎖した米海軍は、ソ連の原子力潜水艦が展開してきたとの情報を受け、海上から音響爆雷を多数投下、原潜を強制浮上させようとしたのです。爆雷攻撃はソレン原潜にとっては攻撃なので核魚雷を発射すべきかどうか艦内で侃々諤々(かんかんがくがく)議論で発射寸前・・・。
ケネディ大統領が上陸を思い止まり、核魚雷の発射はソ連原潜の艦隊副司令官が核攻撃の命令は出ていないと説得、発射をすんでのところで思い止まらせたのです。つまり、キューバ危機では2回、核戦争の瀬戸際にあったという訳です。
「ペンタゴン・ペーパーズ」で有名なダニエル・エルズバーグ氏によれば「核兵器の管理や発射システムが以下に高度であっても、誤警報やテロ行為、越権行為による発射、あるいは死に物狂いの戦争拡大の決定により発動されかねない(『世界滅亡マシーン』岩波書店)。核兵器がある以上、人類滅亡の危機は避けられず、核兵器で戦争を抑止することはできないのではないでしょうか。
弁護士 羽柴 修