憲法
2022.04.18
「ウクライナ侵攻」と核保有(共有)について
弁護士 羽柴 修
安倍晋三元首相は2月27日、フジテレビの番組で「ウクライナ侵攻」(正確にには「侵略」です)をめぐって、「核兵器が配備され、その同盟国が使用の際に協力する「ニュークリア・シェアリング(核共有)」を取り上げたうえで「日本はNPT(核不拡散条約)加盟国で非核三原則があるが、世界の安全がどう守られているかという現実について議論をタブー視してはならない」と語ったようです。
今回、国連憲章や国際法を無視したのはロシアのプーチン大統領であり、「ウクライナ侵攻」は国際平和を根底から覆す正に暴挙です。そうした上記「現実」を作り出したのはプーチン大統領です。そして安倍元首相は北方領土返還交渉においてプーチン大統領に媚びへつらい、2019年の国際会議の席上「ウラジミール。君と僕は同じ未来を見ている」「ゴールまで・・・二人の力で駆けて、駆け、駆け抜けよう」などと一国の宰相として恥ずかしくなるようなスピーチをしています。
「持たず、造らず、持ち込ませない」という非核三原則は唯一に被爆国である我が国が国是として守り抜いてきたものです。核共有はアメリカの核兵器を我が国持ち込み、有事には爆撃機に搭載して使用する、その際、同盟国が使用するかどうか事前に協議するものであり、人類の破滅に手を貸すようなものです。しかし世界の安全を覆すような暴挙を侵した「ウラジミール」になーんも言わない(それどころか擁護している)で、わが国の元首相であり、憲法を守る義務がある自民党最大派閥の領袖(りょうしゅう)である政治家が軽々しく発言することではありません。
この人が見ている「プーチン大統領と同じ未来」は「北方領土返還」等ではなく、核兵器を保有して他国を恫喝する未来なのではないかと勘繰りたくなるのは私だけでしょうか。