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憲法

2021.10.21

岸田内閣の組閣と憲法違反?

 

見えていない「灯りが(私には)見えます」と言って総スカンをくった説明不足の菅首相が退陣、自民党の総裁選挙が行われ、9月29日、決戦投票の結果、岸田文雄氏が自民党第27代の総裁に選ばれました。私たちには投票権もないのに、毎日、毎日自民党祭りをマスコミ各社が先を競って映像を垂れ流す。あれ見てて面白いですかね?

臨時国会が召集され、10月4日、岸田さんは第100代(だそうです)の内閣総理大臣に指命され、その後、組閣手続(国務大臣の任命)が行われます。

これらの手続は自民党のお祭りと違って神聖(儀式)なもので、厳格な憲法に基づき行われます。憲法67条で内閣総理大臣は「国会議員の中から国会の議決で、これを指命する」とあり、「天皇は国会の指名に基づいて内閣総理大臣を任命する」(同6条)、その後、任命された内閣総理大臣・岸田総理が、憲法68条に基づいて「国務大臣を任命する」のです。

ところが10月4日の毎日新聞他朝刊では、まだ臨時国会も開会されてもいない、当然、岸田さんが内閣総理大臣に指命もされていない朝っぱらに、「岸田内閣、13人初入閣 新設の経済安保・小林氏 きょう発足」何ツー見出しで堂々と20名の顔写真まで出しています。組閣の裏側で記者が取材し、先陣争いをする気持ちは分からんでもないですが、憲法67条→6条→68条という憲法上の流れ(憲政の常道)を意識するという配慮が全くなく、組閣翌日の紙面のような作り方をしたことについて憲法学者から警鐘がならされています。

(追伸 ノーベル平和賞を受賞された、ジャーナリズムの神髄にせまるお二人の談話から、我が国にジャーナリズムというものがあるのかと暗澹とした気持ちになります)

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