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2026.01.06

アメリカの暴挙を許してはならない

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

新年早々、また恐ろしいニュースが飛び込んできた。昨年暮れからアメリカ軍が違法にもベネズエラの船舶を撃沈する事件が続いていたが、遂にアメリカ政府は首都カラカスへ特殊部隊を派遣し、マドゥーロ大統領夫妻を拘束し、本国へ連れ去ってしまった。

日本のメディアは国際法違反の「疑い」があるなどと報じているが、今回の襲撃は「武力行使」以外の何ものでもなく、明らかな国連憲章2条4項違反である。

仮にアメリカが主張する通り、マドゥーロ大統領夫妻がアメリカへの麻薬密売に関与していたとしても、アメリカはベネズエラに対して大統領の身柄を引渡すように求めることが限界なはずで、ベネズエラ領内へ軍を派遣し、身柄を拘束して連れ去るなどということが許されるはずがない。

例えば、プーチン大統領はウクライナからの子供の連れ去り容疑で国際刑事裁判所から逮捕状が出ているが、国際刑事裁判所の職員がロシア領内へ侵入し、プーチン大統領の身柄を拘束することなどできない。

国際刑事裁判所であってもロシアの主権を無視することなど許されず、ロシアへ引渡しを求めるか、プーチンが第三国を訪問した際に当該国の協力を得て、身柄を押さえるしか方法がないのだ。

主権というものはそれくらい強い独立性が保障されなければならず、そうでなければ国際秩序は維持できない。

現在の世界は、圧倒的な軍事力をもつアメリカやロシア、中国などの大国と、それ以外の小国に分かれている。

犯罪に関与したという疑いだけで主権を乗り越えることが許されるのであれば、大国は、犯罪の嫌疑をでっちあげ、気に入らない小国の国家元首の首をいくらでもすげ替えることが可能になってしまう。

そうなれば国と国との対等な関係は崩れ去り、小国は大国の言いなりにならざるを得ず、どちらの言い分が正しいかなどは無関係な社会が到来する。

つまり、今回のアメリカの軍事作戦は国際社会の秩序を葬り去るくらいの暴挙なのだ。日本政府も、毅然とした態度で、アメリカの国際法違反を非難しなければならない。八木和也

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