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2025.12.01
あなたのファンならきっとわかってくれます!!
前々回、前回と高市総理の「存立危機事態」発言に関連してコラムを書いてきましたが、中国はこの問題では絶対に引かないこと、政治的な逮捕も含めて中国在留邦人にリスクが及ぶこと、アメリカも含めて世界も決して高市答弁を理解してはくれないことなど、大変残念ながらそのシナリオ通り現実は進んでいる。
加えて、中国の対抗措置が始まってから2週間経過した現時点でよくわかったことは、日本政府側は中国への対抗カードを一つも用意しておらず、今後も何かカードを切るつもりもないということだ。日本は今後も「存立危機事態」について、従来の考え方からは何も変わっておらず、具体的な事例をもとに答弁したことは反省しているとの説明を繰り返すだけのつもりのようだ。
となれば、もはや撤退戦しかない。外交カードがないということは、こちらには弾がなということと同じなので、犠牲を最小化するために早々に退散するしかないのだ。
山登りでも、撤退戦では早期決断が重要だ。選んだルートでは危険すぎて頂上までは登れないことが分かれば、はやく引き返す決断ができるかが鍵となる。そうでないと、引き返すこと自体が大きなリスクとなり、引き返せなくなる。撤退戦は、早期決断ができるかで被害のレベルが決まるのである。
このまま「撤回」は拒否しつつ、反省の態度だけ示し続けても、中国は制裁の手を緩めないだろう。そうなれば、10万人とも言われる中国在留邦人の方々のリスクの増大化はもちろん、中国と取り引きしている何万という日本企業の関係者、中国のインバウンドを目当てにしている観光業・飲食業の方々、中国で活動するアーティストやエンタメ業界関係者など、何百万人にはのぼるだろう日本人が、多大な損害を被り、下手をすれば廃業に追い込まれると言った事態を招くことになる。
他方で、高市総理が国会で一言「撤回します」と答弁することで失うものとは、高市総理の保守的な支持者たちが落胆することであろうが、この方々は高市総理を心の底から支持している方々なはずで、高市総理が「これ以上中国による嫌がらせで、日本経済がダメージを受け続けることは忍びないので」と一言いえばわかってくれるはずである。これにより、支持率が大きく下がると言ったことなどないはずだ。
と、冷静に考えれば早期に「撤回」して終わらせることで、長期的に受ける政権のダメージも小さくなることはすぐわかることであり、高市答弁が、従来の政府の考え方となんら変わりがないのであれば、なおさら「撤回」すればよいではないかとしか私は思えない。
高市総理、あなたのファンはきっとわかってくれます。ぜひ「撤回」してください。八木和也