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2025.08.14
核武装は安上り論について思うこと
参政党の議員がぶち上げた日本を守るためには核武装がもっとも安上りではないかという議論が、一定の支持を得ているらしい。
私は、唯一の被爆国である日本は世界の中で核兵器廃絶の先頭に立つ責任があるという立場で、もちろん反対だが、この議論は参政党の政策にひそむ危険性をよく表していると思うので、そのことを指摘しておきたい。
核武装は、一見するとたしかに他国から攻撃を受けない手段として、合理的なように思える。北朝鮮はアメリカからの進攻を恐れて核武装し、一定の成果をあげている(ようにも思える)。ウクライナが核を保持していたとしたら、もしかしたらロシアはウクライナを侵略しなかったかもしれない。
参政党の政策を支持している人達は、これまで積み上げてきた非核三原則(核を作らず、持たず、持ち込ませずとの日本の国是)との関係や、核拡散防止体制(既存の核保有国以外は核を持たず、核保有国も核を徐々に減らしていく体制)との整合性などを指摘してもあまり意味がないのだろう。参政党の支持者は、上で述べた現実を踏まえ、ゼロベースでの議論を目指しているのだろうからだ。
ただ、いくら日本をファーストにして考えたとしてもどうしても抗えない現実がある。それは、よく知られているとおり日本は食料を60%以上、海外からの輸入に頼っているし、エネルギー(石油、石炭、天然ガス)にいたっては、約90%を海外に頼っている。
私たちは、世界からそっぽを向かれてしまうと、気候不順で農作物が取れなくなれば餓死者が続出することになる。今年のような酷暑だとエアコンが止まり、熱中症による死者が溢れることになる。
私たちは、暮らしのもっとも基本となるところを海外の国々に大きく頼りながら生きているのだ。それは決してお金だけでは解決できず、他国との一定の関係性に依存しているということなのだ。そのことを忘れ、国際社会でのルールを完全に無視した議論など、国民を破滅に導く妄言としか言いようがない。
日本は世界の中でうまくやっていくしか生きていく道はない。そのことは、突き詰めれば世界の平和が壊れてしまえば日本は生きていけないということなのである。これを肝に銘じながら私たちは国の舵取りをしなければならない。
80年前のあの日のことを思いながら、今日はそんなことを考えていた。八木和也