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2025.03.16

財務省解体デモについて思う事

 財務省前で財務省の解体を訴えるデモが活発化しているそうだ。103万円の壁をめぐって自民党が国民民主党の提案を拒んだことが発端なのだろうが、根っこには物価高や国民負担率が上昇を続けるなかで、生活が本当に苦しくなっていることへの抗議デモだろうと思う。
 たしかに財務省は、減税を拒み、給付金もできるだけ抑制してきた政府の黒幕ではあるわけで、財務省に矛先が向かうことは理解できなくはない。
 けれども、わが国が一年間で生み出す富は一定で、あまりに野放図な減税や給付金などが慢性的に行われる社会が、健全な社会であるともとても思えない。すでに一千兆円を越える国の借金をさらに増やしていくことで、この国が良くなるとは私には思えないのである。
 政府やマスメディアはきちんと伝えないが、この十数年で国民の生活はどんどん苦しくなる一方で、大企業は内部留保を途方もなく積み上げ、2023年末時点で700兆円に迫る金額にまでになった。いわゆる資産額5億円超の超富裕層の数も11.8万世帯と急上昇している。今は富の偏在が著しく広がっているわけで、それを生み出す社会システムの方にこそ怒りを向けるべきではないのかと私は思う。
 たとえば1970年代の所得税の最高税率は75%であった。今は45%である。その分を消費税がカバーしてきた。税率はわずか30年あまりで10%となった。今のような社会を作ってきた小泉・竹中路線を一から問い直す政治こそが、今求められるべきではないかと私は思う。八木和也

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