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2025.09.29

高市早苗議員について思うこと

自民党総裁選で高市早苗が有力候補となっているそうで、私が高市早苗について思うことを書いておきたい。

高市早苗は私の出身地奈良の選挙区から政治家をスタートさせており(現在も奈良二区選出の衆議院議員)、私は彼女のことを昔からよく知っている。

今でこそバリバリの保守の論客としてならしているが、昔はそれほど右よりの政治家ではなかった。リベラル系の政党に所属していたこともあり、比較的進歩的な政治家だった。

2000年、自民党へ鞍替えして出馬した高市早苗が奈良1区の候補者らとの討論会で語っていたことを私は今でもよく覚えている。「政治家は三選までで定年にすべきだ、なぜなら四選からは自分の利益のために政治を始めるからだ」などと、とてもまっとうなことを言っていた。

また同じころ朝まで生テレビに出演していた彼女は、アメリカが戦後日本を凋落させる爆弾をいくつかしかけた、それを取り除かないといけないなどと、当時は皆がよく理解できなかったが、今では多くの人が知っているこの国の暗部について、堂々とテレビで語ったりもしていた。

なので、私は高市早苗を嫌いではなかったのだが、安倍信三から登用され始めた2000年代後半ごろからどんどん発言が過激になっていった。靖国には必ず参拝するようになり、総務大臣時代の2016年には、メディア叩きの露払い役として、「放送局が政治的中立を損なえば電波を停止させる」などと国会で発言するようなエキセントリックな政治家へと変貌した。

この度の総裁選でも、奈良のシカを外国人が蹴り飛ばしたなどと発言し、物議をかもしているようだ。おそらくはトランプが大統領選で移民が犬を食べると発言し、票を集めたのを参考にしたのだろう。が、票が集まるのであれば、嘘であろうがヘイト(外国人差別発言)であろうが、なりふり構わずにやってしまう破滅的な政治家へと堕落してしまったとの印象で、残念でならない。

どこが破滅的かと言えば、総理大臣の仕事とは多様な民意を調整し、まとめていくことなはずで、憎しみと分断を煽り立て、それで自民党内での保守票が集まっても、あとで大変苦労することになるからだ。

もっとも彼女の堕落は、彼女自身の問題なのか、それとも自民党が悪いのか、はたまた日本社会全体が悪いのか、なかなか判断が難しいところではある。

いずれにせよ、私たち一人一人の見識が今試されているということは間違いないと思う。八木和也

 

 

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