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2026.01.12

高市総理の解散権行使について思うこと

一昨日から、高市早苗首相が通常国会冒頭で衆議院の解散を検討しているとの報道が続いている。まだ本日の夕方現在では確定ではないみたいだが、ここまで報道されてしまうともはや後戻りはできないだろう。今日のコラムは高市総理が決断するであろう解散権の行使について、書くことにしたい。

解散権というものは、国民が選んだ衆議院議員を、任期途中で全員クビにしてしまうという絶大な効果をもつ。

主権者たる国民が4年の任期を前提として衆議院議員を選んでおきながら、国民のしもべであるはずの内閣が、何ゆえにこれを無効化できるのか、考えてみると不思議なことである。

憲法学での議論でも、内閣が解散権を自由に行使することは、内閣と国会との権力均衡の関係から言ってもおかしいというのが通説的見解である。いつでもクビにされてしまう議員というのは、内閣に従属的な立場に貶められるおそれがあるからである。

ただし、内閣と国会で意見の対立が深刻化し、国政が停滞してしまった場合には、国会を解散し、あらためて国民への信を問うことが必要だろうし、許されるだろうというのが憲法学者内でも概ね一致するところだ。

ところが、特に第二次安倍政権が誕生して以来、解散権に対する制約がほぼ取り払われ、自由に解散できるかのような慣行が生まれつつあった。例えば、北朝鮮がミサイルを撃ってくるからなどという無理くりの理由での、「国難突破解散」もあった。

ただ、それにしてもである。今回の解散には、あまりにも大義がなく、唐突すぎる。すでに高市総理は、維新とあらたな政権を作って臨時国会に望み、補正予算案を通してしまっており、昨年末までは、総理本人も今は解散は考えていないと説明していた。

何よりも、国民は物価高でますます苦しめられており、その原因であるところの円安は止まる様子がない。そして、自らの軽率な発言によって、中国によるレアアースの禁輸措置まで始まってしまった。他方、アメリカはベネズエラで国際法無視の暴挙に出て、さらなる武力行使を対イラン、対デンマーク、対コロンビア、対キューバなどで始めることを仄めかす始末である。日本が戦後一環して大原則としてきたはずの、国際法や国連中心の国際社会を、最大の同盟国であったはずのアメリカが壊しにかかってきたのである。

いくら控え目にみても、日本にとってこれ以上の危機的な内憂・外患は数十年単位で遡ってみても、なかった。それくらい、今の日本は正真正銘の正念場である。

唯一、高市総理による解散権行使が、これからの日本を左右しかねない以上のような大問題について、一定の方向性や解決策を示し、これで行きたいのだが、国民がそれに賛成してくれるのかを問う目的であったのなら、許されると思う。むしろ、もしそうであれば、その方向性や解決策の是非は一旦わきにおき、私も高市総理の決断に喝采を送るだろう。

しかし、そんなレベルで決断できるような政治家ではないことは、この2ヶ月余りの政権運営の稚拙さからも明々白々だ(かつ、彼女を私は昔から注目してきたが、そのような才能はないと断言する)。その目的とするところは、結局は保身や政権維持に過ぎないだろう。

言い換えるならば、高市総理は、これだけの窮状を作り出した責任者の一人でありながら、国民が問題から目を背けるために、そして、こうした問題を一旦脇に追いやるために、絶大な権力を行使しようとしているということだ。

そうであれば、高市総理はいずれ国民からは大きなしっぺ返しにあうことになる。八木和也

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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