中神戸法律事務所 Nakakobe Law Office

Column

中神戸法律コラム一覧

Column

中神戸法律コラム一覧

最近のニュース

2025.10.06

高市早苗新総裁について思うこと

高市早苗が自民党の新しい総裁に選ばれた。

私は、前回のコラムで彼女の保守思想はオリジナルなものではないことを指摘した(なお、2000年に奈良1区の候補者討論会に参加した彼女はすでに新進党から自民党に移った後だったので、この点は訂正させて頂く)。

彼女は、安倍晋三から重用され、自らの出世の方法を安倍派の中でどう支持を広げていくかにあると見定め、そこから保守の論客としての技術を磨き、今日の地位を築いた。

彼女は、とくに地盤を持たない庶民出の政治家で、党重鎮との繋がりもなく、人脈も乏しかった。その点を鑑みれば、総裁の地位を射止めた彼女の能力には、傑出したものがあることは認めざるを得ないと思う。

ただ、もう一人の女性自民党議員の実力者であった野田聖子と対比をすれば非常にわかりやすいのだが、高市早苗は決して女性のアイデンティティーを代表する議員ではない。

野田聖子は、夫婦別姓の実現を古くからのライフワークとして取り組んでおり、郵政民営化でも反対票を投じるなど、気骨のある政治家だった。これまで何度か総裁選にチャレンジしようとしたが、党重鎮からは煙たがれ、立候補すらできない場合が多かった。

高市早苗も、野田聖子と変わらず女性であるが故の苦労やアイデンティティーを持っていたはずであるが、そのアイデンティティーをかなぐり捨て、安倍派が喜ぶ政策をひらすら研究し、それを自分の言葉で語る技術を身に着けた。

したがって、彼女の最大の特徴を指摘するとすれば、その節操のなさ、なかんずく自分の立身出世のためであれば、手段を選ばない計算の高さにあると思う。

今回の総裁選でも、誰もが分かるような嘘(犯罪した外国人が通訳がいないため不起訴になるなど、完全な嘘である)でも平気で言い放ち、それで支持を集め、当選してしまう狡猾さは圧巻ではあった。

が、その特質こそが、これからの彼女の最大の弱点となり、やがて崩壊へと至るのはそんなに先のことではないと私は思っている。

自民党に辟易とする有権者、旧態依然の自民党を守り続けたい自民党重鎮たち、排外主義から距離を置こうとする公明党、排外主義を煽る野党政治家たち、これらをまとめあげるだけの骨太の思想など彼女は持ち合わせておらず、残念ながら人を惹きつける魅力も極めて乏しいと言わざるを得ない。

差別がはびこる偏った世相にも後押しされ、間もなく高市早苗総理が誕生しそうではあるが、ほとんど何事もなし得ず、かなり短命で終わるに違いないと私は思う。

お問い合わせ