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2025.06.01

 兵庫県知事について思う事

 私は斎藤知事の問題について、コラムで書くことを避けてきた。それは、最終的に何が起きていたのかが、まだ全容がわからず、斎藤知事の責任をどの範囲とすべきなのかが、私の中で確定できなかったからだ。

 もっとも重要だと思っていた謎の一つが、告発者であった元県民局長が何ゆえに自死を選び、百条委員会での証言をしなかったのかという点であった。

 元県民局長は、自らの名誉を回復し(元県民局長は業務停止3か月の懲戒処分を受けていた)、斎藤知事との闘いに決着をつけることができる絶好の機会だったはずの百条委員会での証言を、自ら死を選ぶことで、回避した。ここの理由がどうしても分からなかった。

 先週5月27日に発表された第三者委員会の調査結果を聞いて、ようやくその謎が解けた。

 真相はこういうことだ。元県民局長は、パワハラやおねだりなどの問題を告発することを決意し、県警やマスコミに告発文書を匿名で送付するも、知事から告発者であることを探し当てられ、パソコン内の私的情報を発見されてしまった。

 そして知事は、その私的情報を議会へ漏洩するように総務部長へ指示し、議会のある会派の議員たちと共有し、百条委員会でもこの問題が取り上げられることとなった。

 元県民局長は、百条委員会に出席すれば自らのプライベート情報が公になり、家族や周囲の人たちに多大な迷惑をかけることになると考え、やむを得ず自死を選んだ。

 知事は、自ら漏洩を指示したことを否定しているが、三人の元側近の証言が概ね一致しており、また議会への漏洩によってメリットを受けるのは知事以外にはいないわけで、指示をしていないなどという言い逃れは通用しない。

 つまり斎藤知事は、元県民局長の告発に激怒し、通報者探しを違法にも進め、かつそこで得た元県民局長の私的情報を違法にも議会へ漏洩し、元県民局長の証言を封じ、かつ元県民局長を死に追いやった。

 県民局長の側から言えば、パワハラを告発したところ、逆にもっとひどいパワハラで握りつぶされ、死に追いやられたのである。

 したがって斎藤知事の責任は、パワハラや公益通報者保護法違反に留まらない。斎藤知事は、元県民局長の死に対しても、法的な意味での責任を負う。

 もはや斎藤知事は公人として失格であることは明らかである。即刻辞任したうえで、法的な責任をとるべきである。八木和也

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